「絵本作家になりたかったけど、絵が描けないから諦めた」という人は多いのではないでしょうか。
私も子どもの頃から絵本が好きで、いつか自分でも作ってみたいと思っていました。ただ、絵心がまったくないので、ずっと夢のままだったんです。
ところが今、画像生成AIとChatGPTを組み合わせれば、絵が描けなくても、物語が思いつかなくても、一冊の絵本を形にできる時代になっています。しかもKindleで出版すれば、世界中の人に届けることも可能です。
この記事では、AI絵本を作成してKindleで販売するまでの具体的な手順を、会社員の視点でお伝えします。週末や帰宅後の時間を使って、どこまでできるのか。現実的なラインも含めて書いていきます。
AI絵本作成の全体像を把握する
まず、AI絵本を作って販売するまでの流れを整理しておきます。大きく分けると5つの工程があります。
- ストーリーの作成(ChatGPTなど)
- キャラクターデザインと画像生成(Midjourney、DALL-E など)
- レイアウトと製本(Canva、Keynoteなど)
- 電子書籍化(ePub形式への変換)
- Kindle出版と販売設定
それぞれの工程で使うツールや、つまずきやすいポイントがあります。順番に見ていきましょう。
ストーリー作成|ChatGPTで物語の骨格を作る
対象年齢とテーマを決める
絵本といっても、0〜2歳向けの言葉遊び絵本から、小学生向けの読み聞かせ絵本まで幅があります。まずは誰に向けて作るのかを決めてください。
初めて作るなら、3〜5歳向けの「感情を扱うテーマ」が取り組みやすいです。たとえば「お友達とケンカして仲直りする話」「怖いものを乗り越える話」など。読み聞かせのニーズが高く、親御さんが探しているジャンルでもあります。
ChatGPTへのプロンプト例
ChatGPTにストーリーを作ってもらう場合、丸投げするより条件を細かく指定したほうがいい結果になります。
たとえばこんな形です。
3〜5歳向けの絵本のストーリーを作ってください。
テーマ:初めてのおつかいで勇気を出す話
主人公:5歳のうさぎの女の子「ミミ」
ページ数:見開き10ページ(20ページ分)
各ページに1〜2文の短い文章と、場面の説明をつけてください。
出力されたストーリーは、そのまま使うのではなく、自分で読んでみて違和感がある部分を修正します。AIが書いた文章をそのまま出版すると、どこか不自然な言い回しが残りやすいので、ここは手を抜かないほうがいいです。
画像生成|AI絵本で最もつまずく「同じ顔問題」
使うツールの選択肢
画像生成AIは複数の選択肢があります。
- Midjourney:絵本向きの温かみのある絵が得意。月額10ドル〜
- DALL-E(ChatGPT Plus内蔵):手軽に使える。月額20ドル
- Stable Diffusion:無料で使えるが設定が複雑
- Leonardo.ai:無料枠あり。キャラクター一貫性の機能あり
絵本らしい柔らかいタッチを出したいなら、Midjourneyが現時点では安定しています。ただし、後述する「キャラクターの一貫性」の問題は、どのツールでも発生します。
「同じ顔」を保つための工夫
AI絵本を作るうえで、最も面倒なのがこの問題です。同じキャラクターを描いているつもりでも、ページごとに顔や服装が変わってしまう。これが画像生成AIの弱点です。
対策としては、いくつかの方法があります。
- Midjourneyの「–cref」オプションでキャラクター参照画像を指定する
- 同じシード値を使って生成する
- Leonardo.aiのCharacter Reference機能を使う
- あえてシンプルなキャラクターデザインにして、多少のブレを目立たなくする
完璧な一貫性を求めると時間がかかりすぎるので、「80%くらい同じに見えればOK」と割り切るのも一つの判断です。実際、子ども向け絵本では多少の揺らぎがあっても、読み聞かせの妨げにはなりません。
レイアウト作成|Canvaで絵本の形に仕上げる
ページサイズと構成
Kindle絵本の場合、推奨サイズは横1000×縦1600ピクセル(縦長)または横1600×縦1000ピクセル(横長)です。読み聞かせ絵本なら横長のほうが見やすいでしょう。
Canvaを使えば、テンプレートから始められます。「絵本」で検索すると、児童書向けのテンプレートがいくつか出てきます。無料プランでも十分使えますが、背景リムーバーなどを使いたい場合はProプランが必要です。
文字の配置で気をつけること
絵本の文章は短いですが、配置には注意が必要です。
- 文字が小さすぎるとスマホで読めない
- 背景と同化して読みにくくならないよう、文字の後ろに半透明の帯を入れる
- フォントは丸ゴシック系が読みやすい
Kindleの場合、端末によって見え方が変わるので、完成したら必ずプレビューで確認してください。
Kindle出版の手順と収益の現実
出版までの流れ
Kindle Direct Publishing(KDP)のアカウントを作成し、以下の手順で出版します。
- KDPにログイン
- 「電子書籍を作成」を選択
- タイトル、著者名、説明文を入力
- カテゴリを「児童書」から選択
- 原稿(PDF or ePub)と表紙をアップロード
- 価格を設定(99円〜1,250円の範囲が一般的)
- 審査を待つ(通常24〜72時間)
ペーパーバック(紙の本)も同時に設定できます。追加料金なしで、注文が入ったときだけ印刷される仕組みです。
収益はどのくらい見込めるのか
正直に書くと、1冊出しただけで大きな収益を得るのは難しいです。Kindle絵本の印税率は35%か70%を選べますが、70%を選ぶには価格を250円以上にする必要があります。
仮に500円で販売して70%の印税なら、1冊売れて350円。月に10冊売れても3,500円です。
ただし、複数冊出して「シリーズ化」できると、1冊目を読んだ人が2冊目、3冊目と買ってくれる可能性があります。また、Kindle Unlimitedに登録すれば、読まれたページ数に応じた収益(1ページあたり約0.5円)も入ります。
「副業として毎月数万円」を目指すなら、最低でも10冊以上のラインナップが必要というのが現実的な見立てです。
向いている人・向いていない人
AI絵本の作成・販売は、誰にでも向いているわけではありません。
向いている人
- 絵本や児童書が好きで、作品として残したい気持ちがある
- 収益化を焦らず、まずは1冊完成させることを楽しめる
- 画像生成AIの操作を「面倒」ではなく「面白い」と思える
- 週末や夜に2〜3時間の作業時間を確保できる
向いていない人
- すぐに収益が出ないと続けられない
- AIツールの試行錯誤にストレスを感じる
- 「同じ顔問題」のような細かい調整作業が苦手
最初の1冊を完成させるまでに、だいたい10〜20時間くらいかかります。平日1時間ずつ作業しても2〜3週間。この期間を「楽しい」と思えるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になります。
私ならこうする
もし私が今からAI絵本を始めるなら、まずは「1冊完成させる」だけを目標にします。
ストーリーはChatGPTで下書きを作り、自分で手直し。画像はMidjourneyで生成して、Canvaでレイアウト。最初は10ページくらいの短い絵本でいい。完璧を目指さず、とにかく出版までたどり着く。
収益は後回しです。まず「自分の名前で絵本を出す」という経験をする。そこから見えてくるものがあります。
2冊目、3冊目と続けるうちに、画像生成のコツもわかってきますし、どんなテーマが読まれやすいかも見えてくる。そうなってから、シリーズ化や本格的な収益化を考えればいい。
AI副業全般に言えることですが、「まず小さく試す」のが鉄則です。絵本作成も同じで、最初から大きな成果を期待せず、まずは手を動かしてみる。そこで「自分に合っている」と思えたら、続ければいいと思います。
まとめ
AI絵本の作成から販売までの手順をまとめます。
- ストーリーはChatGPTで下書き→自分で手直し
- 画像生成はMidjourneyやLeonardo.aiを使用
- 「同じ顔問題」はキャラクター参照機能で対処
- レイアウトはCanvaで作成
- Kindle出版は無料、ペーパーバックも同時設定可能
- 収益化には複数冊のシリーズ化が現実的
絵が描けなくても、物語が苦手でも、AIを使えば絵本を形にすることはできます。ただし、「簡単に稼げる」わけではない。これは他のAI副業と同じです。
それでも「自分の絵本を作りたい」という気持ちがあるなら、試してみる価値はあります。まずは1冊、完成させてみてください。
